Zero Trust Network Access

ZTNAとは

ZTNA(Zero Trust Network Access)は、「社内ネットワークにいるかどうか」ではなく、アクセスのたびに利用者と端末を検証し、許可されたアプリだけに接続させる仕組みです。従来のVPNに代わる方式として注目され、SASEの中心的な構成要素のひとつです。この記事では、VPNとの違い、仕組み、メリット・デメリット、移行の流れを解説します。

Basics

ZTNAの基本

従来のVPNは、いったん接続すると「社内ネットワークに入った」状態になり、ネットワーク内の多くの資源にアクセスできてしまうことが課題でした。万が一アカウントが乗っ取られた場合、被害が広がりやすい構造です。

ZTNAは、この考え方を根本から変えます。「誰も最初から信頼しない(ゼロトラスト)」を前提に、次のように動きます。

  • アクセスのたびに利用者の本人確認(ID・多要素認証)を行う
  • 端末の状態(会社管理か、ウイルス対策が有効か等)を確認する
  • 条件を満たした場合に、必要なアプリだけに接続を許可する
  • ネットワーク全体ではなくアプリ単位でアクセスを絞る

結果として、「入れば何でも見える」状態をなくし、被害の広がりを抑えられます。

Image

図でイメージする

VPNは「一度入れば中の多くにアクセスできる」、ZTNAは「毎回検証して、許可されたアプリだけにつなぐ」。この違いを図にすると分かりやすくなります。

従来のVPN 社員 VPN接続 社内ネットワーク 業務システム ファイル共有 経理システム 一度入ると中の多くにアクセスできる ZTNA 社員 検証 毎回ID+端末を確認 業務システム ファイル共有 経理システム × × 許可されたアプリだけに接続できる
Visual Guide

イラストで理解するZTNA

専門用語が苦手な方向けに、ZTNAの考え方を3つの図で説明します。

図解

たとえ話:部屋ごとの入館証

VPN(ビル全体の鍵) 一度入ると、中は自由に行き来できる = どの部屋にも入れてしまうリスク ZTNA(部屋ごとの入館証) 社員 ZTNA(受付) 毎回 本人確認 アプリA 許可 アプリB 許可 アプリC 許可
← 横にスクロールできます →

VPNは社内全体に入れてしまいますが、ZTNAはアプリ単位で毎回確認して、必要な所だけ許可します。

図解

ビフォー/アフター:VPNとZTNA

VPN(従来) ZTNA 社員 VPN 社内ネットワーク 業務システム ファイル共有 経理システム 一度入ると全システムにアクセスできる 社員 ZTNA 毎回検証 アプリA アプリB アプリC 許可 × × アプリごとに毎回検証し許可された所だけ
← 横にスクロールできます →

VPNは一度入ると全システムへ。ZTNAはアプリごとに毎回検証し、許可された所だけにつなぎます。

図解

ステップで理解:ZTNAの流れ

1 アプリへアクセス 社員がどこからでも 2 本人と端末を確認 ID・多要素認証 3 アプリ単位で判定 権限をチェック 4 許可されたアプリ だけ接続 許可
← 横にスクロールできます →

アクセスのたびに本人と端末を確認し、アプリ単位で権限を判定してから、許可されたアプリだけに通します。

VPN vs ZTNA

従来のVPNとの違い

接続の考え方VPN:社内ネットワークに「入る」/ZTNA:アプリに個別に「つなぐ」
信頼の前提VPN:接続できれば信頼/ZTNA:毎回検証して必要な分だけ許可
被害の広がりVPN:侵入されると横展開しやすい/ZTNA:アプリ単位なので広がりにくい
通信速度VPN:拠点に集約され遅くなりやすい/ZTNA:クラウド経由で最適な経路
利用者の手間VPN:都度接続操作が必要/ZTNA:意識せず使えることが多い
Pros

メリット

  • 乗っ取り時の被害範囲を限定できる
  • アクセスが速くなりやすい(拠点集約が不要)
  • 利用者は接続操作を意識せず使えることが多い
  • 「誰が・どのアプリに」アクセスしたか記録・可視化できる
  • 退職者・委託先など細かな権限管理がしやすい
Cons

デメリット・注意点

  • !初期設計が必要。どのアプリに誰を許可するか整理がいる
  • !ID基盤の整備が前提。Entra ID等のIDがそろっていないと効果が出にくい
  • !古い社内システム(オンプレ)は対応に工夫が必要な場合がある
  • !月額コストが発生する(利用者単位が中心)
Migration

VPNからZTNAへ移行する流れ(一般的な進め方)

VPNを一度に全廃するのではなく、並行運用しながら段階的に移すのが現実的です。

STEP 1PROCESS
アクセス対象の棚卸し 「誰が」「どのアプリ・システムに」アクセスしているかを洗い出します。VPN経由の利用実態を把握することが出発点です。
棚卸し利用実態
STEP 2PROCESS
ID基盤と多要素認証の整備 Entra ID などでIDを統合し、多要素認証を有効にします。ZTNAの「毎回検証する」土台になります。
Entra IDMFA
STEP 3PROCESS
一部アプリで試験導入 影響の小さいアプリから ZTNA を適用し、使い勝手やアクセス制御を検証します。VPNと並行運用します。
試験導入並行運用
STEP 4PROCESS
対象を広げVPNを縮小 問題がなければ対象アプリ・利用者を広げ、VPNの利用を段階的に減らしていきます。
段階展開VPN縮小
STEP 5PROCESS
運用・監視への移行 アクセスログの監視や、例外申請の運用ルールを整えます。定期的にアクセス権を見直します。
監視権限見直し
Model Case

中堅企業での導入イメージ

以下は、よくいただくご相談をもとにした想定モデルケースです。実際の進め方や効果は、お客様の環境・課題によって異なります。

Case 1

従業員 約500名・サービス業

課題:本社・複数拠点・在宅勤務が混在し、VPNが遅く接続が不安定。退職者・異動者のアクセス停止が手作業で、止め忘れが心配。

既存環境:Microsoft 365 を全社で利用。VPNに入ると社内の多くのシステムへアクセスできる状態。

導入前 本社 拠点 在宅勤務 社内ネットワーク VPN経由 何でも見える VPNで入ると社内の多くにアクセスできてしまう 導入後 本社 拠点 在宅勤務 ZTNA 許可アプリ 許可 他アプリ ブロック アプリ単位で検証し、許可された範囲だけ接続
  • 1Entra ID でIDを統合し、多要素認証を有効化
  • 2Intune で会社端末を管理
  • 3ZTNA(Entra Private Access)で社内システムをアプリ単位のアクセスに
  • 4VPNを段階的に縮小・撤廃

効果:本社・拠点・在宅のどこからでも接続が速くなり、退職・異動時はID無効化で即遮断。誰がどのシステムを使ったか記録が残る。

Case 2

従業員 約300名・専門サービス(士業系)

課題:顧客情報の漏えいが心配。部門・拠点が増え、誰がどのファイルにアクセスしたか把握できていない。

既存環境:Microsoft 365 を全社で利用。部門ごとに扱う顧客データが分かれている。

  • 1Entra ID で全員のIDを整備し、多要素認証を有効化
  • 2条件付きアクセスで「会社が許可した端末」だけを許可
  • 3ZTNA で部門ごとに顧客データへのアクセスを限定
  • 4アクセスログを監視し、定期的に権限を見直し

効果:許可された人・端末だけが必要な範囲にアクセス。操作ログで監査に対応できる。

※ 上記は想定モデルケースです。実際の構成・効果はお客様の環境により異なります。

FAQ

よくある質問

  • QZTNAとは何ですか。
    ZTNA(Zero Trust Network Access)は、「社内ネットワークにいるかどうか」ではなく、アクセスのたびに利用者と端末を検証し、許可されたアプリだけに接続させる仕組みです。従来のVPNに代わる方式として注目され、SASEの中心的な構成要素のひとつです。
  • Q従来のVPNとの違いは何ですか。
    VPNは社内ネットワークに「入る」方式で、接続できれば信頼され、侵入されると横展開しやすい構造です。ZTNAはアプリに個別に「つなぐ」方式で、毎回検証して必要な分だけ許可するため、被害が広がりにくくなります。
  • Qアプリ単位の検証はどのように動きますか。
    アクセスのたびに利用者の本人確認(ID・多要素認証)と端末の状態を確認し、条件を満たした場合に必要なアプリだけへの接続を許可します。ネットワーク全体ではなくアプリ単位でアクセスを絞ります。
  • QVPNからの移行はどのように進めますか。
    VPNを一度に全廃するのではなく、並行運用しながら段階的に移すのが現実的です。アクセス対象の棚卸し、ID基盤と多要素認証の整備、一部アプリでの試験導入、対象拡大とVPN縮小、運用・監視への移行という流れで進めます。
  • Q導入のデメリットや注意点はありますか。
    初期設計やID基盤の整備が前提となり、Entra ID等のIDがそろっていないと効果が出にくくなります。古い社内システムは対応に工夫が必要な場合があり、利用者単位を中心とした月額コストも発生します。

VPNの見直し・ZTNA導入を相談する

「VPNが遅い」「退職者のアクセス管理が不安」「在宅勤務を安全にしたい」といった課題から、ZTNAへの移行をご支援します。現状の利用実態の整理からご相談いただけます。

お問い合わせする